森砂季さんの『現代川柳句集 プニヨンマ』を読みました。まず装丁が素敵でうっとり・・・。ネットで書影を見た時には分からなかったのですが、表紙・裏表紙に使っている紙が、一面にキラキラ光る鱗のような物がちりばめられていて、イラストの色味と相まってとても美しいのです。
頁をめくって、内容も、作者が実に楽しそうに遊んでいるのが伝わってきます。読み進めていくうちに、「この作句法、暮田真名さん的?」と思ったら、あとがきにて、森砂季さんが現代川柳を知ったのは、暮田真名さんの講座のチラシからで、その後受講されたということを知り納得でした。
でも、それだけに留まっていないのがこの句集。Xやこのブログでは引用しようにも不可能なもの、句会でも披講不可能と思われる作品を含め、様々な実験や仕掛けが溢れているように思えます。
『プラモ』から『でたらめ川柳句会』まで12の章からなっていますが、私が特に好きなのは『氷佐藤』の章!
鳥貴族ひとりちびちび氷佐藤
氷佐藤の身体がすごい
片膝をついてほほ笑む氷佐藤
読み進めて、最後の一句に「おい!(←褒めてる)」となったのは、私だけではない筈?
他にも、好きな句を幾つかあげてみます。
「プラモ」って三文字だけのラブレター
ナツモティ・カズック・ハチジュハッチャー
頬杖が月の字面に突き刺さる
電気椅子以外は全部揃います
死ぬじゃん ボーイミーツガール 死ぬじゃん
サイボーグ脳幹だけのお葬式
グーを出しシオマネキに負けた姉貴
そして表題にもなり、章のタイトルにもなっている『プニヨンマ』 これについては、もうぜひ、本句集を実際に手に取ってみてほしいです。なんという中毒性のある言葉!
そうして読み進めるうちに、徐々に作者のギアが上がっていき、最終章『でたらめ川柳句会』になると、もう私には訳が分からない世界です。まず、「題詠『みじんこジェット』」となっていますが、「みじんこジェット」って多分、検索するとトップに出てくる帽子のことじゃないですよね? そしてこれは本当に題詠なのでしょうか…?
ただ、訳が分からない中にも、ほとばしるエネルギーには圧倒され、充実した読後感を味わえます。また、あとがきに「そして私は川柳の『読み』も大好きなので、そちらもいずれ何かの形に出来たらなと思います」とあるのも嬉しい!
ネット上で拝見するだけでも、「すごい詠み手/読み手が出てきたな」と思う森砂季さんのこれからに期待です。
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